催眠術についての質問-その3

これは非常によい質問です。これから催眠を覚える上で、絶対に頭に入れておかなくてはいけないことです。わかりやすく簡単にお答えします。

自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があります。

普段仕事をしていて気が張っているときとか、神経をピリピリしてなにかをやっているときや、緊張時等に働いているのが「交感神経」で、のんびりリラックスしているとき、眠っているとき、好きな音楽等を聞いていい気持ちでウットリしているとき、等働いているのが「副交感神経」になります。

人間は、一日二十四時間のうち、この両交感神経が、片寄らないようにバランスよく働いていればよいのですけど、心配事があったり、イライラしていたり、緊張時が続いたりすると、「交感神経」が働きっぱなしになってしまって、「副交感神経」に変わらないため、結果として不眠症、肩こり、胃炎その他の後遺症につながっていきます。

「催眠」は、まず副交感神経を出すように誘導していくことから始まります。

「催眠者」となるあなた自身で、これからは、今は「交感神経」が働いている、今は「副交感神経」が働いていると意識してみることも必要です。

非常に物騒な質問ですが、誰もが興味のあるところです。

催眠を相当研究している心理学者の先生でも、死につながるほどの極端な状態になると理性のほうが勝ってしまって、催眠から覚めてしまうため不可能だと言います。

しかし、絶対に不可能であるとは言えません。私が実験したわけではないので、それ以上のことは言えませんが、何回も言うように、「催眠の誘導技法」はアイデアとセンスです。理論や能書きではありません。このへんはあまり詳しく書くと、さし障りがありますので、武道の世界に相通ずるところがある、とだけ記しておきます。

町に出れば、刃物等すぐに手に入ります。しかし、これを凶器にして悪用しようと思う人がいても、事前にわかるはずがありません。どこの家庭にでもある包丁も、料理を作る道具にもなり凶器にもなるのです。これはその人の理性の問題です。催眠も同じことが言えます。悪用しようと思えば確かにできます。しかし、悪用できるくらいの技術ということは、それまでに多数の実験、練習を重ねた相当の熟練者でなくては無理です。

最初は不純な気持ちから、催眠を覚えようという気持ちがあったにしても、少しできるようになり、本当に自分のものにしようと思ったとき、そのときはもっと上達しようという気持ちから、最初の気持ちとは変わっているはずです。

たとえば、ケンカに強くなろうという気持ちから空手を習い出した若者が、やがて有段者になり、空手の魅力に取りつかれたとき、初心の気持ちはなくなっているのに似ています。何事も”ちょっとかじる”というのが、一番よくないような気がします。

催眠の場合、ちょっとかじったくらいでは、悪用できるほどの「技術者」には、絶対になりません。

我々人間は、知らず知らずのうちに人に暗示を与えたり、人から暗示を与えられて生活をしています。しかしほとんどそれに気付いていません。

約三才から六才くらいまでの幼児のお母さんは、その子供にとって世界一の催眠術師であると言われています。お母さんのその子供に言う言葉は、ほとんど暗示語として伝わってしまうのです。子供のうちに潜在意識に蓄積されてしまった暗示は、一生取れない場合もあります。たとえば”おまえは本当にバカな子だね”と毎日のように言い続けたとしたら、その子供にとって最悪の事態を招きます。その反対に、学校ではまったく勉強のできない自分の子供に”おまえは天才だ、おまえは必ずすごいことをやる”いう言葉をいつも言われているうちに、世界的な発明家になってしまったのがあの「エジソン」であると言うのは有名な話です。

あなたがもしも風邪をひいて、薬局に薬を買いに行ったとき、初めて聞いた名前の薬とテレビコマーシャルでいつも見ている薬と値段が同じだったらどちらを買いますか。よほどのへそ曲がりでない限り、コマーシャルで見ていたほうの薬を買うと思います。これも暗示効果です。

このような「暗示」を、「暗示語」として意識して使い、被験者をトランス状態に誘導していくのが「催眠」です。